【社労士が解説】看護師の有給休暇、8割出勤してなくてもらえる?入社すぐの付与条件と「前倒し」を解説

看護師と社労士の対話形式の画像。看護師が「4月に入職して3日もらえたが、6ヶ月経過や8割出勤は必要ないのか?」と質問。社労士が「それは法律より手厚い『前倒し付与』という制度。就業規則で定められているはず」と回答している様子。
「病院の制度がどうなっているか次第」として2つのパターンを解説したテキスト画像。パターン1は「分割付与」で6ヶ月後に残りの7日をもらう方式。パターン2は「基準日統一」で、次の基準日(例:翌年4月1日)まで付与がない可能性がある方式。
結論のまとめ画像。「8割出勤」の要件は、今後(6ヶ月後や翌年)の付与判定時に関係してくると説明。結論として「規定があれば入社即有給はもらえる」「まずは就業規則で自分がどのパターンか確認しよう」と社労士がアドバイスしている。

Instagramより引用

入社してすぐ、「8割出勤してなくてもらえる?」に対する答えを先にお伝えします。

看護師社労士
看護師社労士

はい、もらえます。

それは、あなたの会社が法律で定められた基準日よりも「前倒し(まえだおし)」で有給休暇を付与する、手厚い(労働者にとって有利な)制度を採用しているためです。

入社後すぐにもらえた有給休暇は、8割出勤したかどうかに関わらず、安心して使って問題ありません。

なぜこのような疑問が生まれるのか、法律の原則と「前倒し」の仕組みについて解説します。

1. 法律の原則(「6ヶ月」と「8割出勤」)

そもそも、なぜ「6ヶ月経たないともらえない」「8割出勤しないともらえない」という話が出てくるのでしょうか。

それは、労働基準法で定められている有給休暇(年次有給休暇)の最低限の付与ルールが以下のようになっているからです。

  • 入社してから6ヶ月間、継続して勤務している
  • その6ヶ月間の全労働日の8割以上を出勤している

この2つの条件を両方満たしたときに、初めて「10日間」の有給休暇をもらう権利が法律上発生します。

多くの方が「有給休暇は6ヶ月後から」と認識しているのは、この法律の原則ルールのためです。

2. タイトルの疑問:「前倒し付与」とは?

では、入社してすぐ(=6ヶ月経っていない、8割出勤の判定もまだ)なのに有給休暇がもらえたのはなぜでしょうか。

これが「前倒し付与(早期付与)」という仕組みです。

  • 法律のルールはあくまで「最低基準」です。
  • 会社が、その最低基準を上回る(労働者にとって有利になる)ルールを独自に定めることは、全く問題ありません。
  • 「入社してすぐに有給がもらえた」というのは、会社が就業規則などで「法律の6ヶ月を待たず、入社日に3日(など)を先に与えます」という有利なルールを設けている証拠です。

入社時にもらえた有給は、「8割出勤」の条件を判定する”前”に、会社が恩恵的に付与してくれたものなのです。

3. 「8割出勤」のルールは無くなったの?

いいえ、ルールが無くなったわけではありません。これが最も注意すべき点で、「前倒し付与」を理解する上で重要なポイントです。

8割出勤」のルールは、次に有給休暇をもらう(発生する)タイミングで関係してきます。

会社の制度によって、主に2つのパターンが考えられます。

パターン1:「分割付与」の場合

(例:入社時3日付与、6ヶ月後に残り7日付与)

  • 入社時(4月1日):3日付与。これは8割出勤の判定なしで使えます。
  • 6ヶ月後(10月1日):ここで初めて「8割出勤」の判定が行われます。
    • もし、入社からの6ヶ月間で8割以上出勤していれば、法律どおり残りの7日(10日-3日)が追加で付与されます。
    • もし、万が一8割未満だった場合、法律上は残り7日は付与されません。(※この場合でも、会社が独自ルールで7日付与してくれることもあります)

パターン2:「基準日統一」の場合

(例:入社時3日付与、次の4月1日に11日付与)

  • 入社時(4月1日):3日付与。これは8割出勤の判定なしで使えます。
  • 次の基準日(翌年4月1日):ここで「8割出勤」の判定が行われます。
    • 判定期間は会社によりますが、例えば「入社した4月1日~翌年3月31日までの1年間」とされることが多いです。
    • この1年間で8割以上出勤していれば、次の休暇(法律上は11日)が翌年4月1日に付与されます。
    • もし、この1年間で8割未満だった場合、法律上は翌年4月1日の11日は付与されません。

◎「分割付与」と「基準日統一」という2つの仕組みが組み合わさった、非常に具体的な(そして少し複雑な)一例もあります。

「4月1日に3日、10月1日に7日、次の4月1日に11日」という流れは…

  • 初年度(10日間):法律の基準日(6ヶ月後)を待たずに、「分割付与」で対応している。
  • 次年度以降(11日間〜:法律の基準日(入社1年6ヶ月後、2年6ヶ月後…)を待たずに、会社の定めた「4月1日」に「基準日統一」して前倒しで付与している。

…という、2つの制度が組み合わさった運用をする方法もあります。

◎もっとシンプルな「基準日統一」の例としては、「4月1日入社時にいきなり10日間付与し、次の4月1日に11日間付与する」という方法もあります。

4. まとめ:社労士からのアドバイス

入社してすぐ有給休暇がもらえた場合、以下の点を押さえておいてください。

  • 今もらえた有給は、安心して使えます。 それは「前倒し付与」という会社の制度によるもので、8割出勤の要件とは関係なく使えます。
  • 「8割出勤」のルールが消えたわけではありません。 次に有給休暇が追加されるタイミング(6ヶ月後や翌年の基準日など)で、その直前の期間の出勤率が8割以上あるかどうかが判定されます。
  • 会社の「就業規則」を確認しましょう。 自分がパターン1(分割付与)なのか、パターン2(基準日統一)なのか、あるいは別のルールなのかは、会社の就業規則(賃金規程・有給休暇規程など)に必ず記載されています。不明な点は担当部署に確認するのが確実です。
看護師社労士
看護師社労士

法律よりも手厚い条件であなたを迎えてくれるというのは、それだけ『働く人を大切にする』という理念が浸透している証拠です。

そんな素敵な職場で働けることを誇りに思って、気持ちよくお休みを使ってくださいね。



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